「三国志　完結編(第三部)　遥かなる大地」あらすじ・感想・結末【評価Ｅ+４５点】

「三国志　完結編(第三部)　遥かなる大地」

１９９４年公開。日本アニメーション。

声の出演　渡瀬恒彦　あおい輝彦

赤壁の戦いの後の蜀進行から孔明の最後までを描く完結編。

前回までの話はこちら

singark071781.hatenablog.com

読者になる

あらすじ

西暦２０８年　赤壁の戦いで勝利した劉備・諸葛亮らが次に狙うのは西方の「蜀」の地へ遠征を進めた。天下三分の計を為すために。

劉備・龐統が蜀へ進むと「鳳姫」という女性から矢文が届き、蜀の家臣には劉備を快く思わないものがいると忠告される。女性は関羽の娘だと名乗っているらしいが誰もそんなものは知らなかった。

劉備を迎えた劉璋は宴を開く。剣舞の最中、劉璋を亡き者にしようと龐統は考えていたが失敗に終わる。

漢中の張魯が攻めて来たと知らせがあり、劉備は守備するということで劉璋の信用を得ようと移動した。

道士左慈と鳳姫の会話では、関羽と鳳姫は姫が赤子の時だという。

蜀の武将、張任と張松は考えで対立し、劉備側の張松は斬って殺される。劉璋へ援軍と兵糧を要請したが、やってきたのは老兵とくさった食べ物だった。蜀を獲得することを決意した劉備は「中」の策を取り、進軍を開始する。そのとき、龐統の馬が使えず、劉備の白馬を与えられた。

襄陽にいた諸葛亮は不吉な星を見て、関羽らを集め、蜀へ行くので、守備を任せた。「龐統は戦死しました」と孔明。落鳳破にて待ち伏せにあい矢で撃たれたのだった。蜀で立ち往生している劉備を救うため、関羽を残し、孔明・張飛らは蜀へ向かった。

道中、孔明は馬超に襲われる。助けたのは、鳳姫だった。豪勇の馬超と対等に渡り合う力を見せるのであった。関羽の娘と名乗ると孔明は、確かにそうだと認めるのであった。

城攻めをするが張任に苦戦する劉備。間一髪の所で張飛・孔明に助けられ、城も獲得する。張任は打ち取られた。成都へ向かう途中、馬超と遭遇し、馬超は父の仇、曹操を倒すため、劉備の配下となった。馬超の力で成都は無血開城し、劉備は蜀王となった。２１４年。

劉備にも認められ、荊州へ関羽に会いに行く鳳姫。関羽は船で甘寧に襲われているが鳳姫に助けられる。が素性が分からず、牢へ入れていまう。関羽は証拠の布切れで思い出す。戦争に巻きまれた赤ん坊を助け、布切れとお金を渡し、「関羽の娘」と言って預けていたのだったが忘れていたのだった。晴れて娘と認められた鳳姫。

漢中の戦いで定軍山に陣をかまえる曹操と劉備。鳳姫は関羽の代わりに援護へ向かった。曹操は黄忠の矢を歯にうけて顔も腫れていた。道士左慈は曹操と相対し撤退するように話す。そして、道術で曹操を追い払う。劉備は２１９年漢中王となった。

呉では呂蒙に代わり、若き陸遜が司令官となった。陸遜は魯粛が信頼した切れ者だった。陸遜に関羽は油断し、呉を攻める。その際、矢を右腕に受ける。名医華佗は手術をするが、碁を打っている間に手術は完了し、関羽は平然としていた。

呉を攻めている間に、襄陽は陸遜・呂蒙に乗っ取られていた。のろし台は陸遜の計略で機能しなかった。麦城へ着いたときには関羽の兵はわずか、とうとう関羽と関平は捕らえられてしまう。孫権に寝返るよう諭されるが、関羽は死を選ぶのであった。２１９年関羽５８歳。周倉と会う鳳姫。周倉は関羽の遺言として鳳姫へ孔明を父として頼るようにと伝え、命を落とす。関羽の首は呉の策略で曹操の元へ送られていた。曹操と張遼は関羽との出会いを思い出していた。曹操は関羽をしっかりと弔うことにした。劉備は戦争を仕掛けると言うが、孔明に諭され、関羽の葬儀を行うのであった。自殺しようという鳳姫を助ける馬謖。馬謖は馬良の兄弟。龐姫は孔明の娘となったのだった。

感想

「国を興し、国が無くなる。劉備・孔明という存在」

劉備は時代だからとはいえ、血があったといっても、むしろ売りから国を築いた。その存在のすごさ。どこまでが真実かはわからないが、物語になるほどの魅力であったのだろう。そして、諸葛孔明という存在。やることなすこと、その知力は圧倒的。それでも、部下を育てる才には恵まれず、人とはそういうものだろうか。蜀を獲得する戦いは、それまでの劉備の苦労がようやく実る、遅咲きの希望を与えてくれる。鳳姫という三国志の他の話では出てこない人物を通して、関羽・孔明を見る。これもまたありかと思う。女性や平民の姿は描かれない昔の歴史、それでも本来はそこに生きる人々がいることは大切なこと。歴史ものはいろんな角度から見ることも楽しみのひとつであり、何年たってもすばらしき題材は映像化され、新たな発見と面白さを与えてくれる。

結末

２２０年曹操は病で亡くなり、曹丕は魏王となった。孫権も呉王となり、三国時代となる。

弔い合戦をする決意をした劉備と張飛。張飛は弔い用の白装束を３日以内に準備しろと無理を言い部下に暗殺されてしまう。２２１年張飛は５５歳だった。

呉と戦う劉備軍は破竹の勢いで進み、呉の首都まで迫っていた。陸遜は持久戦に持ち込む作戦をとり、厳しい暑さに劉備は森へ陣地を動かす。森は火攻めの危険が高い。馬良は劉備へ進言するが劉備は聞く耳を持たなかった。陣の図を見た孔明。敗北を感じたのであった。劉備の陣には呉軍の火が放たれ、呉軍に攻められ、逃げる劉備。五虎将軍の黄忠は討ち取られた。軍師の馬良も討ち取られる。夷陵の戦いで蜀は大敗したのだった。

白帝城で病に倒れた劉備。孔明・趙雲に後を頼み、劉備は亡くなった。２２３年、６３歳だった。

孔明は国づくりをしながら、魏との戦いに備えていた。「出師表」を作り、天下統一に向かうことを劉備の子、劉禅に決意する。魏の司馬懿が攻めてきた。鳳姫は馬謖と結婚することとなったが、その前に大事な戦いに馬謖は出陣した。相対する司馬懿と孔明。陣形対決で勝利した孔明は一気に攻めるため、街亭を守備することが大事と、馬謖を配置する。街亭は城も山もなく難しい土地。必ず、街道に陣を取るようにと指示をした。が、孔明の指示を守らず馬謖は、山に陣取ってしまう。水源が確保できず、山は火攻めにあい惨敗する。２２８年、街亭の戦いで失敗した蜀軍は全軍撤退することになった。法を守ることが大事と、泣く泣くではあるが孔明は馬謖は処刑したのであった。孔明は鳳姫に恨まれることとなってしまったのだった。

司馬懿と戦いを続ける孔明、趙雲も馬超も亡くなっていた。五丈原で対する魏と蜀。司馬懿は孔明と戦わず、持久戦をしていた。孔明の体は病気でずいぶん弱っていた。鳳姫は戻ってきて孔明の真意を悟る。将星が流れ落ち、孔明の寿命が尽きてしまう。撤退を指示し万が一のときの策は鳳姫に授けて亡くなってしまう。２３４年５４才だった。司馬懿が攻めてくると孔明が現れる。鳳姫が孔明のふりをしていただけだったが、司馬懿は撤退したのだった。