「Nのために」
2014年。日本ドラマ(TBS)。
主演・出演 榮倉奈々 窪田正孝 賀来賢人 小出恵介 徳井義実 小西真奈美 三浦友和
内容・賞など ザテレビジョンドラマアカデミー賞、最優秀作品賞、助演男優賞、ドラマソング賞、監督賞を受賞
湊かなえ原作。主要人物はイニシャルがNであり、N作戦など、キーワードになっている。それぞれが思いあう愛の物語とセレブの殺人事件・放火事件の真相を紐解くミステリーが融合された作品。全10話。
あらすじ
各回のタイトル
希美(榮倉奈々)の島での高校時代・東京の大学時代・現在を中心に描かれる。高校時代には、成瀬(窪田正孝)の父がやっていた料亭の放火事件、大学時代にはセレブ夫婦殺人事件が発生し、どちらの現場にも居合わせた希美と成瀬は島の警察官の高野(三浦友和)に疑われ、定年となった高野は東京にきて、事件の再調査を独自に始める。
放火事件の料亭事件で成瀬は疑われ、とっさに希美は成瀬をかばう嘘のアリバイをつきます。また高野の妻( 原日出子)は火災現場に行き、怪我のショックからか声がでなくなります。犯人は特定できませんでした。
ありえない形で父が母と別れ、生活は困窮し、母がおかしくなったこともあり、距離をとるように強引に家族との決別をして東京の大学に来た希美は安いアパートに住み、そこで二人のN、 安藤望(賀来賢人)・西崎真人(小出恵介)と出会います。そのアパートは都市開発で壊されそうになっており、取壊しを防ぐためにN作戦という、近くの大きな建物を管理するセレブの夫婦、野口夫妻と接触します。接触は成功し、アパートは守られ、野口夫妻と3人はそれぞれに個人的な付き合いを深めます。とくに野口貴弘(徳井義美)と希美は野口の趣味の将棋のアドバイザーとして、野口奈央子(小西真奈美)は西崎と同じDV被害者ということで近づきます。成瀬は大学ではうまくいかず、オレオレ詐欺で逮捕され、大学を中退し、夢だった飲食店の仕事をするため、人気のレストランでバイトをしていました。偶然にもバイト先は野口夫妻の想い出のお店でした。友人の結婚式で帰省したとき、久しぶりに希美と成瀬は再会します。
野口夫妻は奈央子の不倫が噂となり、貴弘は奈央子を監禁しDVがひどく流産してしまいます。奈央子を助けようと考えた西崎はN作戦2として、希美を通して成瀬のバイト先からの出張サービスを依頼し、救出を計画します。安藤は野口と将棋の勝負で海外僻地への賭けをさせられ、希美は将棋のアドバイザーとして、西崎は奈央子からの依頼で花屋として、N作戦2当日は全員が野口夫妻の部屋へ行くという日となりました。
感想
「最後の2話にくぎ付け。それぞれが思う愛がそうなったかと納得し、愛を見ることができる」
みんな一番大切な人のことを考えた。というセリフの通り、それぞれがそれぞれの愛を貫いたことが、運命となり、不幸も呼んでしまう。人はお互いのことを理解しようとするが、時に一方通行で、時にすれ違う。愛とはそういうものの究極かもしれない。
主要メンバーが思う、それぞれのNのために。形はどうであれ、相手を思うことをこれだけ全面に押した作品はすごく、その思いがミステリーの骨格を成すという湊かなえのすごさ。結果を見てもなお、考えさせられる作品だ。
いつものことだが、三浦友和の役どころにやられる。妻の原日出子への最後のシーン。妻の名前も夏恵、N。ここでのNのためにはドラマ版のみのストーリーということだが、これも良かった。作品を見るひとの年齢・環境は様々であり、自分に近いものがあると共感も深くなる。いいシーンであった。
評価 C+ 65点 ドラマで長いですが、最後まで見る価値あります。特にラスト2話は必見。
音楽
「Silly」
アーティスト 「家入レオ」
結末
料亭の放火事件の結末
放火は成瀬の父が料亭がうまくいかず、自殺を図って放火したものでした。家を燃やそうと思っていた成瀬と協力しようとした希美は事前にライターオイルを大量に買い、液体をまいていました。証拠を捨てようと成瀬が海にいっているときに父が火をつけたのでした。希美は、成瀬がやったと思い、自分の境遇と照らし合わせて、その火に救われたと感じて、成瀬がやったと思った罪を秘密にしようと決意したのだった。放火の現場に入った高野の妻は成瀬の父に同情してしまい、証拠隠滅をしてしまう。罪の意識と警察官の夫を守るため、ずっと秘密にすることが声をだせなくさせてしまっていた。警察官を定年し、時効前に高野の妻は秘密を手紙で高野へ伝える。事実を受け入れた高野は、それを秘密にし、妻と暮らしていくことを選ぶ。妻の夏恵は泣き、声が出たのだった。成瀬が放火したと思っていた希美は自分の違っていたことを知る。しかし、二人でオイルをまいたことは高野には、最後まで伝えず、希美と希美、二人だけの秘密となった。
セレブ夫婦殺人事件の結末
野口夫妻の貴弘と希美は安藤との将棋勝負の逆転の作戦を立てていた。希美は西崎を待つため時間を稼ぐが、西崎はクリスマスの花屋の混雑で遅れていた。仕方なく逆転の方法を教えるが、そのときに、安藤と貴弘が賭けをし、安藤が負ければ、海外の僻地へ行くことを希美は知る。ようやく着いた西崎は部屋へ駆けつけるが、奈央子の依頼は自分を連れ出すことではなく、貴弘と不倫していると思い込まれた希美が邪魔なので連れ出してほしいということだった。安藤は野口のマンションに着くが、西崎と遭遇する。そこに成瀬も来ると知った安藤は成瀬と自分のどちらを選ぶか、自分を選ぶと考えて、試すように、マンションの入り口のチェーンを外からかけた。(チェーンは貴弘が奈央子を監禁するために外側につけていた)安藤を僻地へやらないために傷害事件を発生させようと西崎と貴弘を会わせる。殴られる西崎は逃げようとするがチェーンがかかっていて逃げられない。怒った貴弘は奈央子に暴力を振るう。見かねた西崎は包丁で貴弘に向かうが、逆に包丁をとられ西崎は危機となる。そのとき、奈央子が燭台で貴弘を殴る。血が出て倒れる貴弘に奈央子が支えると離れるよう奈央子は言う。奈央子が西崎と近づいたのは自分たち夫婦を救ってくれると期待しただけとも言う。殴ったのは貴弘を止められるのは自分だけだからだというのであった。逃げられない状況で、奈央子は包丁で自分を刺す。これで貴弘と一緒になるのだと、そして西崎に悪いことをしたと謝るのであった。西崎は、過去の自分の母の死の状況と照らし合わせて、奈央子を殺人犯にさせない、母を見殺しにした贖罪をしたいからと、自分が殺したことにすると奈央子に話す。奈央子はそんな嘘はつけないといい、成瀬に助けを求め、成瀬が部屋へ来る。成瀬は希美を助けるために嘘を共有する。安藤が部屋にやって来る。外からのチェーンを警察に黙っていてほしいと成瀬に頼む希美は安藤を思ってのことだった。
エンディング
セレブ夫婦殺人事件から10年、希美はガンとなり余命宣告を受ける。高瀬は嘘はやましいからだと思っていたが、人のためにつく嘘もあるのだと知ったという。安藤と成瀬はお互いに、希美はお互いを考えていたと話す。母(山本未来)に会う希美。母は再婚し仕事をはじめ、父と別れおかしくなった頃を謝る。母に病気のことを話す希美。すべてを聞くと母は希美を抱きしめるのであった。西崎は出所し、前を向いて進んでいた。高瀬は夫婦で進んでいくと歩いていく。安藤と電話する希美。安藤は前を向いているといい、希美もこれからだと話し、別れをする。
「わたしに人生をくれた大切な人たち、ありがとう」
島にきた希美は成瀬と会う。「3月9日オープンしました N」の書かれたフェリーのチケットを持って。
for N
お気軽に登録ください。基本、こちらからも登録させていただきます。
画像はAmazonアソシエイトからの公式提供、もしくはブログ主本人の撮影画像です。