「風のたより」
2015年。日本制作映画。
監督 向井宗敏
内容・賞など 東日本大震災から5年。仙台が舞台。
あらすじ
“どうせ”が口癖のくるみ(新木優子)。くるみは東京で友人二人と共にカフェを開店する予定でしたが、友人の一人が海外へ行ってしまい、もう一人の友人の「私たち二人では無理」ということで計画はなくなりました。
故郷仙台の祖父・健(大杉漣)は『風のたより』という喫茶店をやっていましたが、震災で閉店。それでも、店の再建に動いていました。
東京にいたくるみに健が心臓病で倒れたと連絡が入り、仙台へくるみは来ました。健は検査入院のため、喫茶店の開店準備をくるみにお願いしました。
喫茶店の準備にとりかかるときに手伝いとしてきたのは、ボランティア活動がうまくいかないさくら(佐生 雪)。人付き合いが苦手な感じのさくらですが、器用で、作業ははかどります。
ある日さくらが買ってきたカフェの雑誌には、友人が別の女性とカフェを開店させた記事。がっかりしたくるみは次の日から喫茶店に行かなくなりました。そして準備を辞めたいと健に言うのでした。
感想
「大杉漣という温かい風が仙台に吹く」
東日本大震災からの復興と二人の女性の成長を重ね合わせた作品。二人の女性はネガティブな存在で、うまくいかない。起業の相方として相応しくないと判断された主人公くるみ・就職もうまくいかず、ボランティア活動でも不適格だと判断されたさくら。二人を繋ぎ育てたのは、大杉漣演じる祖父の健。喫茶店の開店準備ということを通じて、伝えたかった思いがしっかりと相手に届いた。すべてがうまくいくことはないかもしれないが、短所は長所であり、相性と少しの一歩踏み出す力で人生は変わるかもしれないと思わせてくれる。
大杉漣という役者がちょっとお節介ながら距離を保つ祖父役は見事であった。人には言わないでということを言ってしまいそうだ、でも悪気もなく、嫌みもないという存在。大杉漣は亡くなってしまったが、その残したものは風となり、多数の方々へ今も影響し続けるだろう。
さくらが、ぶっきらぼうにくるみに指示・指摘するところが世間的には疎まれるかもしれないが、必要な要素とも感じた。自分の得意を見失っている人、自分の才能を隠している人に勇気を与える作品であると感じた。
仙台復興もまだまだ、沿岸部・福島などはまだまだまだまだだ。気仙沼方面に行くと、大半がトラックという現実。東日本大震災を経験した人もしていない人も興味があれば見てほしい、そして仙台や宮城にくるきっかけになれば、なおありがたいと思います。
キーワードは大杉連・宮城ロケ・就活・喫茶店
評価 D 50点 仙台荒井が舞台。舞台のカフェもあります。
音楽
「風のたより」
アーティスト「ハジ→」 2016年
結末
一度くじけたくるみでしたが、励ます健の言葉で作業を再開しました。そして、イラストのままになっていたランチの試作も始めました。
ランチの試作はさくらに好評でした。二人はお互いのことを打ち明けます。くるみはすぐに諦めてしまうこと、さくらは就職活動がうまくいかないことを。
店が完成し、くるみは健と一緒に店をすること決め、さくらを雇いたいとも思っていました。しかし、健が急逝してしまいます。開店は延期することとなりました。
くるみが農家へ延期の話に行くと健が茄子を育てていたなどを聞かされ、秋茄子のずんだ和えのメニューのイラストを渡されます。それを見たくるみは小さいころの記憶を思い出しました。健と一緒にメニューを考えたこと、そして、大人になったら店を継ぐと言ったことを。
くるみはさくらに採用を伝え、開店させることを決めたのでした。
オープン日、お店の前でくるみとさくらが写真を撮ろうとすると、風見鶏が回るのでした。
From the Wind
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